
確定申告が間に合わない。そんな時気になるのが遅れたときは、どんなリスクがあるのか?ですよね。
確定申告を期限内に申告しない場合の罰則は、
- 無申告加算税が課される
- 延滞税が課される
の二つです。
間に合わない時に対処法はないのか?というと、じつはあります。
それは、
間に合わない時の対処法
- 所得0円で確定申告書を提出
- 後日、正しい申告書を提出
という方法です。
この方法、私が税理士事務所勤務時代に最後の奥の手として何度か使っていました。
そこでこの記事では、
この記事の内容
- 確定申告が遅れそうなときの対処法
- 修正申告や更正の請求について
- 青色申告で確定申告が遅れた場合
といったことについて税務の実務に通算18年従事した私の経験や知見を元に解説しました。
この記事の執筆者

しょうじ
会計事務所に通算18年勤務。法人税・所得税で累計1,000件以上の確定申告業務、100件以上の税務調査の立ち会いに従事。起業や法人成りのスタートアップ時のサポートや融資・資金繰り相談などにも幅広く対応していました。
確定申告が間に合いそうになくて焦っている、どう対処すればいいかわからない人には必見の内容です。ぜひ最後までご一読ください。
確定申告が遅れたときのリスク

無申告加算税と延滞税が課されます。
無申告加算税
無申告加算税は、申告をしなかったことに対してかかる税金です。
本来納めるべき税金(本税)に率を乗じて計算します。
税務調査で指摘された場合、
本税に対して50万円までの部分に15%、50万円を超える部分に対して20%かかります。
税務調査の事前通知後であれば、
本税に対して50万円までの部分に10%、50万円を超える部分に対して15%かかります。税務調査の事前通知税務調査の事前通知というのは、調査官が税務調査に行く場合、法律上、「税務調査に行きますよ」ということを通知しなければいけません。この通知のことをいいます。
自主申告であれば、無申告加算税は、かなり軽減されます。
延滞税
延滞税は税金の未払いに対する利息のようなものです。
その利率は、期間を二つに分けて考えます。
法定納期限の翌日から
①「完納の日または2月を経過する日」‥年7.3%か延滞税特例基準割合+1%のいずれか低い方
②「2月を経過する日の翌日から完納の日」‥年14.6%か延滞税特例基準割合+7.3%のいずれか低い方
確定申告が遅れそうな時の対処法

確定申告が遅れそうな時は、
- 所得0円で確定申告書を提出
- 後日、正しい申告書を提出
とやることで、無申告加算税を免れます。デメリットとしては延滞税がかかってしまう点があります。
所得0円で確定申告書提出
無申告加算税を避けるためには、期限内に申告する必要があります。そのため、とりあえず申告書を提出します。のちに修正申告書を提出しますが、ここでの当初申告は「所得0円」で提出します。所得が確定しないから0円です。
仮の数字だから、何でもいいのでは?と思うかもしれませんが。
万が一税務調査になったら?を想定して0円にします。
というのは税務署という組織は、何でも疑って見ます。仮に当初申告で「10万円」としていれば、この10万円の根拠は何ですか?と聞いてきます。何もないところから数字は出てこないと見られるので、適当に決めたと言っても通りません。
そのため、何も決まっていないことを表す0円が最も妥当です。
後日、正しい申告書を提出
所得が正しく計算できたら、正しい申告書を提出します。
当初申告より所得や税額が多くなるのか少なくなるのかで、手続きが変わります。
当初申告より所得や税額が増える場合は「修正申告」、減る場合は「更正の請求」という手続きになります。
修正申告と更正の請求

修正申告と更正の請求はそれぞれ以下の手続きを踏みます。
修正申告
修正申告の場合、通常の第一表に加えて修正申告用の第五表を添付して提出します。修正後の正しい数値を第一表に記載し、当初申告の従前の数値を第五表に記載します。
修正申告書を提出し、税額がある場合は、納付も速やかに済ませ、これで完了です。
【第一表】

【第五表】

更正の請求
更正の請求をする場合は更正の請求書という独自の様式の書類を使用します。
更正の請求の場合は、修正申告と違って、更正の請求書を提出したからといって認められるわけではありません。手続き上は、税務署長に更正を請求することです。この請求に基づき、更正するかどうかは税務署長が精査し決めることになります。
それまではただ待つしかありません。
そのため、赤字であることが最初からわかっていれば、加算税の心配がそもそもないため、期限内に申告書を提出せずに、落ち着いて期限後に提出する方が無難です。
【更正の請求書】

修正申告書も更正の請求書も、電子申告するにもプリントアウトして書面提出するにも、国税庁のe-taxが便利です。
e-taxは以下のリンクから利用できます。
国税庁 確定申告書等作成コーナー
画面をスクロールすると、下の画像の箇所が表れるので、矢印の先にあるリンクから作成できます。

青色申告で確定申告が遅れた場合

青色申告だと遅れてはダメだと思っている人も多いです。でも、個人の場合は、遅れて青色申告が取り消されることはありません。
よく聞く話で、青色申告は2年続けて遅れると取り消されるというのがあります。
じつは、これは法人の場合です。
法人の場合は2期連続して遅れると取り消す旨の規定があります。
でも、個人にこの規定はありません。
というのも、そもそも個人の場合、確定申告書を提出するのは確定申告義務がある場合です。
そのため、確定申告義務が生じない場合もあります。
個人事業の確定申告義務は、確定申告書の手引きにもあるとおり、「所得がある」場合になります。
つまり、青色申告でも赤字の場合は、確定申告義務がないので提出は不要なわけです。
ちなみに国税庁の青色申告の規定、法人版と個人版は以下です。
税理士に依頼する場合

修正申告や更正の請求は少しハードルが高いと思ったら、税理士に依頼しましょう。
期限間際で依頼する場合には、こちら側がリスクを把握していることをきちんと説明しましょう。
期限間際で税理士が依頼を受けたがらないのは、間に合いそうもないうえに、依頼者側は税理士は何とかしてくれると期待するからです。
そうではなく、修正申告を前提にリスクを理解していて手続き上申告書の作成ができない旨をしっかり伝えれば、請け負ってくれる税理士はいます。
税理士を探すには、期限も迫っているので税理士紹介サイトを利用しましょう。税理士紹介サイトのおすすめの5社はこちらの記事でまとめています。
税理士紹介サイトのおすすめ【最新ランキング】主要5社を徹底比較!
まとめ
期限内に確定申告書を提出しないと、
- 無申告加算税
- 延滞税
といった罰則が課されます。
間に合わない場合は、以下の方法を検討してみましょう。
間に合わない時の対処法
- 所得0円で確定申告書を提出
- 後日、正しい申告書を提出
また、場合によっては税理士に依頼することも検討しましょう。きちんとリスクを理解したうえで依頼すれば、引き受けてくれる税理士はいるので、あきらめず探してみましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。