
確定申告を税理士に丸投げする際、よくある失敗や勘違いとして次の5つがあります。
- 白色申告の簡易帳簿も任せられると思っていた
- 領収書を貼って渡してしまう
- 経費の内容を伝えず、はじかれてしまう
- 通帳の入出金が不明瞭で税務調査で追徴が発生する
- 期限ぎりぎりで断られてしまう
確定申告時期は税理士は繁忙期で手一杯です。通常期ほどなかなか細かいところに気が回りません。
要領を得ないと、経費になっていなかったり、誤って理解され税務調査で否認され追徴課税になったりといった失敗につながります。
とはいえ、なにをどう注意すればいいかわかりませんよね。
そこで、この記事では、
この記事の内容
- 確定申告の丸投げとは?メリット・デメリット
- 丸投げの税理士費用の相場
- 丸投げでよくある5つの失敗・勘違い
- 丸投げの税理士の探し方
といった内容を税務の実務に通算18年従事した私がわかりやすく解説します。
この記事の執筆者

しょうじ
会計事務所に通算18年勤務。法人税・所得税で累計1,000件以上の確定申告業務、100件以上の税務調査の立ち会いに従事。起業や法人成りのスタートアップ時のサポートや融資・資金繰り相談などにも幅広く対応していました。
確定申告を税理士に丸投げしようかなと悩んでる方には必見の内容です。ぜひ最後までご一読ください。
税理士丸投げとは?メリット・デメリット
確定申告を税理士に依頼する時の丸投げ、改めて丸投げとは具体的に何をするのか?そのメリット・デメリットも解説します。
丸投げとは?
確定申告での個人事業の手続きは、大まかに
- 帳簿の作成
- 決算
- 決算書・申告書の作成
- 確定申告書の提出
になります。
これらを全て税理士に任せるのを丸投げといいます。
そもそも、①帳簿の作成、②決算、③決算書・申告書の作成、④確定申告書の提出は税理士業務じゃないの?と思いますよね。
じつは、確定申告での税理士との契約では、
✅帳簿の作成は納税者でやって、それ以降を税理士に依頼する
✅申告書の作成までできるけど、自信がないので最終チェックと提出は税理士に依頼する
など、人によって様々です。
丸投げのメリット
丸投げのメリットとしては、
丸投げのメリット
- 確定申告作業に時間を全くとられない
- 会計ソフトの入力など面倒な帳簿作成をしなくていい
- 簿記がわからず帳簿が進まないといったストレスがない
- 決算処理などのミスがない
- 税制改正などによる税金のミスがない
などがあります。
丸投げのデメリット
丸投げにももちろんデメリットがあります。
丸投げのデメリット
- 税理士費用がかかる
- 請け負ってくれる税理士が限られる
確定申告の丸投げは、どんな税理士でも対応してくれるというわけではありません。
確定申告時期は税理士業界は超繁忙期で業務をこなすのに精一杯です。多くの税理士は確定申告の受付を中止することも珍しくありません。
丸投げの税理士費用
税理士費用は、丸投げだから特別に高いというわけではなく、
- 白色申告か青色申告か
- 帳簿の作成を依頼するか否か
で変わってきます。
丸投げなので帳簿の作成も含まれますが、相場としては、
丸投げの税理士費用の相場
■白色申告:5万円~10万円
■青色申告:12万円~15万円
が相場です。
丸投げで失敗する5つの勘違い
冒頭で説明した丸投げでよくある5つの勘違いは以下になりますが、ここでもう少し掘り下げてみます。
- 白色申告の簡易帳簿も任せられると思っていた
- 領収証を貼って渡してしまう
- 経費の内容を伝えずはじかれてしまう
- 通帳の入出金内容が不明瞭で税務調査で追徴課税が発生してしまう
- 期限ギリギリで断られてしまう
白色申告の簡易帳簿も任せられると思っていた
白色申告での帳簿は、簡易な帳簿の作成が認められています。
(簡易な帳簿というのは、家計簿みたいなものです。)
一般的に白色申告では、税理士ではなく納税者で帳簿をつくることが多いです。
領収書を貼って渡してしまう
税理士側で帳簿を作成するときは、領収書から会計ソフトに入力していきますが、領収書を貼ってあると非常にやりにくいです。意外かもしれませんが、領収書は貼らないのがベストです。
経費の内容を伝えず、はじかれてしまう
確定申告時期は、繁忙期なので税理士側では作業が手一杯です。通常どおりの配慮が行き届きません。書類内容で判断できそうなところは納税者への質問は省略して、作業を進めることは往々にしてあります。
事業で使った経費でプライベートでは?と思しきものはきちんと伝えていないと、はじかれることはよくあります。
通帳の入出金が不明瞭で税務調査で追徴が発生する
帳簿作成の際には通帳からも入力しますが、通帳の場合、事業主が売上金を現金収受し預金に直接入金すると、振込と違って、摘要欄に相手方の名前が記名されません。すると、入力している側からは、単なる預け入れと誤認して売上漏れになり、それが税務調査で発覚すれば追徴税額の発生につながることもあります。
期限ぎりぎりで断られてしまう
事業所得の丸投げでは、帳簿の作成があるので、けっこうな作業量になります。繁忙期の税理士事務所は、かなりの業務過多になっているので、期限に余裕がないと、依頼を断ることがけっこうあります。
丸投げするときの注意点
丸投げする際には、最低でも以下2つのことは、認識しておきましょう。
- 丸投げする範囲を認識しておく
- 期限が迫ると受け付けてもらえないことがある
丸投げする範囲を認識しておく
基本的に丸投げでの税理士の対応は、請求書、領収書などの書類をもとに、①帳簿の作成、②決算、③決算書・申告書の作成、④確定申告書の提出です。
白色申告の場合、帳簿は簡易案なもので構わないことになっているので、帳簿は納税者がエクセルやノートなどに家計簿的な帳簿をつくり、税理士は売上や領収書を集計して、直接決算書を作るという場合が多いです。
また、税理士は原始記録や税務申告に関連すること以外はノータッチです。例えば、請求書から売上を帳簿に記録していきますが、その際、請求漏れがあってもどこの相手先の売上が請求漏れしているかなど個別の管理はしません。
また、手渡す領収書についても、日付順に並べたり、スクラップブックなどに整理して渡すのか、何もせず箱などに放り込んだままでもいいのか、事前に確認しておきましょう。
期限が迫ると受け付けてもらえないことがある
丸投げでは、請求書や領収書からの帳簿の作成に時間を要するので、申告期限が迫ると受け付けてもらえないこともあります。
遅くとも2月中旬には、探し始めないと間に合わない可能性があります。
税理士への依頼の際の注意点や探し方はこちらの記事をどうぞ
確定申告代行で税理士への依頼時によくある失敗3選
まとめ
確定申告の丸投げをする際は、メリット・デメリットを理解した上で、以下2つのことは、認識しておきましょう。
- 丸投げする範囲を認識しておく
- 期限が迫ると受け付けてもらえないことがある
また、確定申告の丸投げは敬遠する税理士もいるので、税理士紹介サイトなどを利用して、歓迎している税理士を選定しましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。