確定申告

確定申告しないとどうなる?

確定申告というと、

  • しなきゃいけないのはわかるけど、めんどくさい
  • しなくてもバレないんじゃない?
  • そもそもしないとどうなるの?

初めての確定申告だとこんな疑問が出てきますよね?

そこで、税務の実務に通算18年従事した私が確定申告の実務や税務調査の立ち会い経験からの知見をもとにこの疑問にお答えします。

結論から言うと、
確定申告しないときのペナルティは「無申告加算税と延滞税が課せられる」ことです。

と言っても、税務調査にでもならないと、無申告かどうかはわからないのが現状です。

ただし、

ブログ・アフィリエイトなどのインターネット取引には国税庁が着目しているので、楽観視はできません。

その理由などは本編でくわしく触れています。

また、いざ確定申告しようにも初めての人にはやり方などがわからないことが山積みだと思いますので、この記事では、初心者が確定申告するときの流れや失敗するポイントなども解説しています。

これから確定申告をどうしようか迷っている方には必見の内容です。

確定申告しないときのペナルティ

確定申告をしないと、課されるペナルティは、ズバリ無申告加算税と延滞税です。

無申告加算税

無申告加算税というのは、「確定申告をしなかった」ということに課されるペナルティで、納めるべき税金に加算して払う税金です。

無申告加算税がいくらになるかというと、

納めるべき税金の金額で率が変わります。50万円までは15%、50万円を超える部分は20%nになります。

延滞税

納期限までに払わなかった場合に課されるのが延滞税です。

その税率は

  1. 納期限の翌日から2ヶ月を経過するまで、原則として年7.3%
  2. 納期限の翌日から2ヶ月を経過した日以後、原則として年14.6%

確定申告しないのがばれる理由

ぶっちゃけ、無申告加算税や延滞税といったペナルティもばれないと課されることはありません。

では、どうやってばれるのか?が気になるところですよね?

ブログ・アフィリエイトをやっている場合の収益の多くはASPなどの収入がメインだと思います。

この場合、

ASP側にアフィリエイターの登録データ(氏名・住所・支払金額)を照会して、そのデータで確定申告の提出があるか?を調べれば簡単に無申告は判明します。

税務署がどうやって、ASPからアフィリエイターの情報を入手するかというと、主な取得経路は、

  • 毎年、年末に提出されるASPの法定調書
  • ASPの税務調査時に入手

により入手していると考えられます。

税務署がインターネット取引をマークする理由

税務署がアフィリエイターのデータを持っていてもそれを照合するなりアクションを起こさなければ、ばれません。

ところが、そう楽観視はできません。というのも税務署はインターネット取引に注力しています。

その根拠は、、、

これは、国税庁が発表している令和2事務年度の個人の所得税調査の状況です。申告漏れ(確定申告していない人)の金額で1件当たり所得が大きいのは、なんと「ネット広告」で2,667万円でした。

ここで言うネット広告にはアフィリエイトも含まれますので、国税庁はブロガー・アフィリエイターは無申告が多いという印象を持っていることが十分考えられます。

令和2事務年度 所得税及び消費税調査等の状況

ここ2年はコロナ禍であり、感染拡大防止の観点から税務調査は自粛傾向にありました。

ところが、ここ最近は収束状況にあり、またコロナ禍の巣ごもり需要でインターネット取引は活況だったことは周知の事実です。そうなると、国税庁はインターネット取引ではますます収益が増加したうえに無申告者がいるのでは?とにらんでいます。

つまり、ブログ・アフィリエイターの調査に注力すると考えられます

確定申告のやり方

確定申告しないといけないのはわかったけど、そもそも確定申告ってどうやるの?と言う方のためにざっくり説明します。

確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの事業の儲けを計算して確定申告書に記入して、翌年2月16日から3月15日の間に提出し、税額があれば納付する手続きです。

個人事業で電子申告する場合を例にすると以下のような流れになります。

確定申告の流れ

個人事業で申告する場合には、とくに申請しなければ、白色申告で、申請をして承認されれば青色申告となって税務上の優遇措置が受けられます。いずれにしても帳簿が必要なので、会計ソフトなどで取引を入力して、帳簿・決算書をつくります。

決算書は売上や経費を集計して、事業の儲けを計算した書類です。この儲けの金額をもとに、国税庁のWEBサイト上にあるe-taxで税額を計算し申告します。

確定申告でつくる書類

確定申告では①青色申告決算書と②確定申告書の二つの書類を作成し提出します。

①青色申告決算書

企業で言うところの決算書で事業の売上や経費、儲けを記入する書類です。(白色申告の場合、収支内訳書という簡易的な書類になります。)

②確定申告書

確定申告書は、青色申告決算書で記入した儲けをベースに税額の計算過程を記した書類です。

儲けから始まって、社会保険料や扶養者がいる場合の控除などを差引いて所得を求めて、その所得に税率をかけた税額が算出できるようになっています。

確定申告でよくある失敗例7選

初めてのことには失敗がつきものですが、できれば避けたいところ。確定申告でもできるだけ失敗はしたくないですよね。そこで、実務でよく見る初めての失敗をまとめました。

開業届を提出していなかった

事業を始めたら、開業届の提出が必須です。

忘れていても罰則はないので、早めに提出しておきましょう。用紙は国税庁ホームページからダウンロードできます。

電子申告の事前準備をやっていなかった

電子申告には、ICカードリーダライタ方式とID・パスワード方式とあって、いずれも事前準備が必要です。確定申告期限ギリギリだと間に合わないこともあるので、事前準備が必須です。

事前申請せずに青色申告をやってしまった

青色申告で意外に多いのが、「事前申請せずに青色申告で提出してしまう」です。

青色申告をするには、

  1. 青色申告承認申請書を税務署に提出
  2. 税務署から承認される
  3. 確定申告書を青色申告で提出できるようになる

という順序で適用できるようになります。

事前に申請せずに単に青色申告の箇所に丸印をつけても青色申告が認められるわけではないので注意しましょう。

帳簿の準備をギリギリになって始めた

事業で確定申告する場合、青色申告でも白色申告でも帳簿の備え付けが必要です。帳簿というのは、売上や経費などの取引を記録することで、イメージするなら事業用の家計簿のようなものです。帳簿は提出するわけではないけど、取引を記録していくと、科目ごとに金額が積みあがっていき、それが決算書になります。

つまり、帳簿がないのに決算書は作れないわけなんです。

とはいえ、一朝一夕でできるわけではないので、事前に準備して少しずつやっておくのがベスト。

確定申告直前というのは無謀です。ちなみに具体的には、会計ソフトに入力するのが一般的です。

確定申告の失敗例は上記のほかにも

その他の確定申告でよくある失敗

⑤決算書がツッコミどころ満載になっている

⑥仕掛品となるべきものを経費計上していた

⑦減価償却すべきものを経費計上していた

といったものが初めての確定申告でよく見る失敗です。詳細はこちらの記事をどうぞ。

確定申告がめんどくさいときの解決方法

確定申告は多くの人がめんどくさいと思っています。このめんどくさいの大きな要因は会計入力です。

会計の入力で、めんどくささを解消するポイントは3つです。

  • 会計ソフトの連携機能を使う
  • 現金決済をクレジットカード決済にする
  • 事業用口座を1つにまとめる

会計ソフトの連携機能を使う

最近の会計ソフト、とくにクラウド型(パソコンにインストールせずにインターネット上でログインして使うもの。)では銀行口座やクレジットカードが連携できます。連携できると取引をデータとして取り込み仕訳が自動で生成されます。

これだけで、格段に手間が削減されます。

現金決済をクレジットカード決済にする

現金での支払いをクレジットカードにすると上記の会計ソフトの連携機能がつかえます。便利なのは手間がなくなる以外にも、計上漏れを防ぐメリットもあります。自動で仕訳が生成されるので、領収書をなくして経費の計上漏れになる心配がないです。

事業用口座を1つにまとめる

銀行口座が複数あると、管理が大変です。しかも、口座間の資金移動があると、それも取引として会計上は入力が必要になります。意外にこれが年間通すとけっこうあって、削減するだけで大幅に効率化します。

確定申告が間に合わない時の対処法

確定申告が間に合わない時、その対処法を知っていれば、いざとなったらあわてず冷静に対処できます。

私が実務でどうしても間に合わないというときに用意していた奥の手をお教えします。

期限を過ぎても受け付けてくれる

じつは、確定申告書は期限を過ぎたからといって受付停止にはなりません。期限後申告といって、受け付けてくれます。

極論、白色申告など税務上の特典を受けない限り、期限を過ぎていても延滞税などは課されますが、致命的な罰則はないです。問題なのは青色申告のように、期限内に提出することが前提で優遇されるような場合です。

再提出を前提で、とにかく提出する

青色申告の場合、最悪青色申告の取消しになる可能性があるので、間に合わない場合はとりあえず、申告書が完成していなくてもとにかく提出します。

記載される金額はどうするかというと、嘘を書くのは一番マズいです。

できるところまでの金額で提出します。

修正申告で再提出

確定申告に誤りがあって再提出するやり方には、

  • 修正申告
  • 更正の請求

と二通りあります。

修正申告は、税額や所得を少なく申告してしまったため増額修正するという意味の申告。

一方、更正の請求は、税額や所得を多く申告したので、減額修正する申告です。

お気づきのとおり、言い回しが違いますよね?これは修正申告は、改めて所得や税額を増額するので、国税庁側からすれば大歓迎な修正です。そのため、勝手に修正すれば受け付けてもらえます。

ところが減額修正の場合、税額があれば還付しなくてはいけません。そうなると安々返してはくれません。

基本的に減額修正は、納税者が勝手にすることはできず、手続き上税務署長権限で行われます。これを「更正」といいます。つまり、減額の場合は、納税者ができるのは、税務署長に「更正をお願いするだけ」なんです。それで、名称も「更正の請求」といいます。さらに更正するかどうかは税務署長が判断します。

更正の請求はけっこうめんどくさいです。

そのため、再提出は「修正申告」をする方が無難です。

ただ、修正申告もリスクはあります。

増額修正をすることになるので、税額がある場合には、過少申告加算税と延滞税が課される可能性があります。

修正申告や更正の請求のくわしい内容などはこちらの記事でどうぞ。

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