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フリーランス・個人事業主及び副業に関する税務サービスを提供している税理士法人加美税理士事務所の税理士 川畑英之と申します。
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フリーランス事業者向け:税務調査のリスクと対応策

フリーランスの個人事業主様が適切に納税対応を行っていない場合、税務署から税務調査を受ける可能性があります。本記事ではフリーランスの事業者様に向けて、税務調査の対象になりやすいケース、事前に取るべき対策、調査の流れや当日の対応ポイント、税理士の視点からの効果的な対応策、そして調査後のフォローまでを詳しく解説します。事前に十分な知識と準備を整え、税務調査に冷静かつ適切に対応できるようにしましょう。

1. フリーランスの税務調査を受けやすいケースと事前対策

税務調査が入りやすいケースとは?

まず、どのようなフリーランスの事業者様が税務調査の対象になりやすいのか確認しましょう。売上規模利益率申告内容の特徴などによっては、税務署から目を付けられやすくなります。

  • 売上規模が大きい場合:一般的に年商1,000万円を超えるフリーランスの事業者様は、税務調査の対象になる可能性が高まります。特に年商3,000万円以上で継続的に黒字を計上している場合、税務署は申告内容の正確性を確認するために調査を行うことがあります。
  • 利益率が不自然な場合:売上に対して利益率が異常に高い、または経費計上が多すぎて利益が極端に低いといったケースでは、税務署の関心を引く可能性があります。異常に高い利益率は経費漏れの疑い、極端に低い利益率は事業に関係のない経費を計上している可能性があると判断されることがあります。
  • 申告内容に不審な点がある場合:例えば、売上が消費税の課税対象となる1,000万円の基準ぎりぎりで推移していると、税務署に売上を意図的に抑えて申告しているのではないかと疑われることがあります。不正が発覚すれば、最大7年分の修正申告と高額な追徴課税が科される可能性があるため注意が必要です。
  • 申告内容と実態が合わない場合:フリーランスの方はオンラインでの取引が多いため、プラットフォームの取引データと確定申告の売上額が一致しないと、税務調査の対象になることがあります。たとえば、銀行口座の入出金額と申告額が大きく異なる場合、申告漏れを疑われる可能性が高まります。
  • 経費計上が不適切な場合:事業とは無関係な支出を経費に含めると、税務署から指摘を受けることがあります。特に、高額な接待交際費や家族旅行代、業務と関係の薄い通信費やガソリン代などが目立つ場合は、調査の対象になりやすくなります。

このような状況に該当する場合、税務調査のリスクが高まります。年商1,000万円を超えるフリーランスの個人事業主様は、適正な税務処理を心掛けることが大切です。

税務調査に備えて事前にできる対策

税務調査のリスクを下げるために、日頃から次の対策を行いましょう。

  • 帳簿の整備:日々の取引を漏れなく記帳し、売上台帳や仕入台帳を正確に管理しましょう。青色申告をしている場合は複式簿記の帳簿作成が必要ですが、クラウド会計ソフトを活用することで手間を減らし、正確に管理できます。
  • 領収書・請求書の保管:経費の裏付けとなる領収書や請求書は必ず保管しましょう。青色申告の場合、保存期間は7年間(前々年所得300万円以下なら5年間)、白色申告でも5年間の保管義務があります。万が一領収書を紛失した場合は、日付・金額・用途を記録した書類を作成することで代替できる場合があります。
  • 申告内容の見直し:確定申告書の内容を毎年見直し、売上や経費の計上が適切か確認しましょう。特に、同業者と比べて極端な数値がないかチェックし、不明点があれば税理士に相談することをおすすめします。
  • 税理士との顧問契約:税務調査のリスクを下げるためには、税理士と顧問契約を結ぶのが有効です。税理士が日々の帳簿チェックや決算書の作成をサポートすることで、不適切な処理を未然に防ぐことができます。また、税務調査の際には税務署との交渉もサポートしてもらえるため、安心して対応できます。
  • 現金取引の記録:クレジットカードや銀行振込を中心に取引するフリーランスの事業者様も、一部で現金取引が発生することがあります。現金取引は記録が曖昧になりやすいため、必ず収支を記録し、領収書を受け取るようにしましょう。事業用の現金とプライベートのお金を混同しないことも重要です。

これらの対策を徹底することで、税務調査のリスクを軽減できるだけでなく、万が一調査を受けた際にもスムーズに対応できます。特に税理士との顧問契約は、税務調査の際の強力なサポートとなるため、フリーランスの方にとって大きなメリットがあります。

2. 税務調査の基本的な流れ:事前通知から当日対応までのポイント

ここでは、税務調査の連絡を受けてから当日の流れまで、重要なポイントを解説します。税務調査は突然のように感じるかもしれませんが、事前に流れを理解しておけば冷静に対応できます。

税務署からの事前通知はどのように行われるか

通常、税務調査は事前に日程調整の連絡(事前通知)が入るケースがほとんどです。多くの場合、調査の2~3週間前に税務署の担当者から電話があり、調査の目的や日程について打診されます。連絡は原則として納税者本人(個人事業主なら本人、法人なら代表者)に行われますが、税理士に「税務代理権限証書」を提出している場合には、税理士が代理で対応することも可能です。

事前通知の内容としては、

  • 調査の実施目的
  • 調査の日時と期間
  • 調査場所(自宅兼事務所、店舗、税理士事務所など)
  • 調査対象となる税目(所得税・消費税など)と対象年度
  • 当日準備しておくべき帳簿や書類

などが口頭で伝えられます。法律上、事前通知の期限に関する明確な規定はありませんが、実務では通常2週間前後に連絡が入ることが一般的です。

例外として、事前通知なしで調査官が突然訪問するケースもあります。これは悪質な脱税の疑いがある場合に行われる「無予告調査」と呼ばれますが、通常の任意調査では非常に稀です。もし突然調査官が訪問してきても、納税者には即座に調査に応じる義務はありません。「顧問税理士に相談したいので、日程を調整したい」と伝えれば、適切な準備をする時間を確保できます。調査官には納税者の許可なく勝手に帳簿や書類を閲覧する権限はないため、落ち着いて対応しましょう(ただし、裁判所の令状に基づく強制調査は別です)。

税務調査当日の流れと対応ポイント

事前通知で決まった日程になると、税務署の調査官(通常2名程度)が指定の場所に訪問し、調査を開始します。調査は午前10時頃に開始し、夕方まで行われるケースが一般的です。調査期間は事業の規模や内容によりますが、ほとんどの案件は1~2日間で終了します。

調査当日は、まず事業概要のヒアリングから始まります。調査官は事業者に対して、

  • 事業内容や経営の概要
  • 主要な取引先
  • 売上や仕入れの流れ
  • 従業員の有無

などについて質問します。税務署はビジネスの全体像を把握した上で、帳簿や取引内容を確認していきます。事前に事業の説明資料や業務フロー図などを準備しておくと、説明がスムーズになります。

午前中のヒアリングが終わると、午後から帳簿や書類の確認に移ります。特に重点的にチェックされるポイントは以下の通りです。

  • 売上の計上漏れ:売上台帳や銀行口座の入出金履歴と申告額を突き合わせ、不一致がないかを確認。
  • 売上計上時期のズレ:売上を翌期に繰り延べていないか、請求書の日付と計上タイミングをチェック。
  • 仕入れ・在庫の整合性:仕入れ数と在庫数が帳簿上で一致しているか、経費計上に問題がないかを確認。
  • 経費計上の適正性:交際費や人件費など、事業に関連する経費が適正に計上されているかを審査。
  • 帳簿書類の管理状況:会計帳簿、領収書、請求書などが適切に保管・整理されているかをチェック。

調査官は帳簿を見ながら不明点を随時質問してきます。「この交通費は何のための出張ですか?」「この取引の支払先はどこですか?」など、具体的な質問が飛ぶことが想定されます。その場で回答が難しい場合は、後日資料を提出する形でも対応可能ですが、できるだけ即答できるように準備しておきましょう。

法人化している場合のチェックポイント

法人の場合は、上記に加えて以下の点も厳しくチェックされます。

  • 役員報酬の適正性:社長や役員への報酬が法人税法の規定に沿っているか。
  • 交際費や福利厚生費の妥当性:法人経費として計上された交際費の支出先や金額が適正か。
  • 貸付金・借入金の管理:役員貸付金が不適切に計上されていないか、期末直前に過剰な経費計上をしていないか。

法人経営者は、これらのポイントについても事前に整理しておくと安心です。

税務調査の対応で重要なポイント

調査当日の対応で特に重要なのは、誠実で協力的な態度を示すことです。調査官に対して横柄な態度を取ったり、あいまいな返答をしたりすると、調査が長引く可能性があります。質問には正確に答え、要求された資料はできるだけ迅速に提示するようにしましょう。

また、税理士の同席も有効な対策です。税理士がその場にいると、専門的な質疑応答を任せられ、調査官とのやり取りがスムーズになります。税理士が間に入ることで、調査が必要以上に厳しくならないよう調整できる場合もあります。顧問税理士がいる場合は、事前に立会いを依頼することをおすすめします。

税務調査はどなたにとっても緊張する場面ですが、適切な準備と対応をすれば、必要以上に恐れることはありません。日頃から帳簿管理を徹底し、正しい申告を心がけることが最善の対策となります。

3. 税理士が教える税務調査の対応策:必要書類の準備と適切な受け答え

税務調査を乗り切るためには、事前準備当日の的確な対応が重要です。ここでは税理士の視点から、調査までに用意すべき書類や証拠類、そして調査官からの質問への受け答えのコツを解説します。

税務調査前に準備しておくべき主な書類

事前通知を受けたら、当日までに関連書類を整理・準備しましょう。税務署から具体的な書類の指示がある場合もありますが、一般的に過去3年分程度の書類を一通り用意しておくと安心です(悪質な疑いがある場合は最大7年分求められることもあります)。

  • 売上に関する書類:売上台帳、取引明細、請求書(発行分)、見積書、受注書、契約書、領収書(控え)など。ネット販売やサービス業の場合は、各プラットフォームの売上レポート入金明細を印刷したものも該当します。
  • 経費に関する書類:領収書、請求書、仕入台帳、納品書、発注書など、事業経費を証明する書類一式。クレジットカード明細や銀行取引明細も支払いの証拠となるため、あわせて用意します。
  • 通帳や現金出納帳:事業用口座の通帳コピーや取引明細、現金収支記録など資金の流れが分かる資料。
  • 人件費関連書類(該当する場合):給与明細、源泉徴収簿、労働者名簿、勤怠管理表(シフト表・タイムカード)など。
  • その他経費の証拠類:車両費、地代家賃、保険料、減価償却資産などに関する契約書や証明書類。

事前に調査官から特定の資料を求められる場合もあるため、指示があれば漏れなく準備し、すぐに取り出せるように整理しておきましょう。

調査官の質問への適切な受け答え

税務調査当日は、調査官から様々な質問を受けることになります。適切な対応をすることで、スムーズな調査進行につながります。

  • 聞かれたことに正確に答える:事実に基づいて端的に回答し、余計な説明は不要。分からない場合は「確認して後ほど回答します」と伝えましょう。
  • 必要書類は迅速に提示する:調査官の要請に対し、準備しておいた書類を速やかに提示することで、調査が円滑に進みます。
  • 分からないことは正直に伝える:無理に答えず、「税理士に確認します」や「後日資料を提出します」と伝えるのが適切。
  • 税理士を活用する:税務の専門的な質疑応答は税理士に任せ、事業主は事業実態の説明に集中するのが理想的です。
  • 感情的にならない:調査官と冷静に対応し、不服がある場合でも資料や根拠を基に説明しましょう。

税理士が行う高度な防衛策(事前チェックや修正申告の活用など)

税務調査に備える高度な対策として、税理士の活用方法を紹介します。

  • 事前税務監査(模擬調査)の実施:税理士が事前に申告内容や帳簿類をチェックし、リスクを洗い出す。
  • 自主的な修正申告の活用:申告漏れやミスが発覚した場合、税務署から指摘を受ける前に修正申告を行うことでペナルティを軽減。
  • 税務調査当日の立会いと交渉:調査官とのやり取りや交渉を税理士が担当し、クライアントをフォロー。
  • 専門知識を活用した交渉:税法の解釈や過去の判例をもとに、調査官との交渉を有利に進める。

税務調査は、適切な準備と対応を行えば過度に恐れる必要はありません。日頃から税理士と連携し、正しい帳簿管理と申告を心がけることが最善のリスク回避策となります。

4. 税務調査後のフォロー:追徴課税への対応と再発防止策

税務調査が終了すると、指摘事項があった場合は修正申告や追徴課税への対応が必要になります。また、調査結果を踏まえ、再発防止策を講じることが重要です。このセクションでは、調査後の適切な対応について解説します。

追徴課税の種類と対応策

税務調査の結果、申告漏れや誤りが認められた場合、まず不足分の税額(本税)を納付し、その上で追徴課税(加算税や延滞税)が課されることがあります。

主な追徴課税の種類は以下の通りです。

  • 延滞税:本来の納付期限を過ぎて税金を納めた場合に発生する利息に相当する税。納付が遅れるほど負担が増すため、速やかに支払うことが大切です。
  • 過少申告加算税:申告額が本来よりも少なかった場合に課される税。税務調査の途中で自主的に修正申告をすれば軽減措置が適用される可能性があります。
  • 無申告加算税:期限内に確定申告をしていなかった場合に発生する税。自主的に申告すれば税率は低減されます。
  • 重加算税:意図的に所得を隠したり、虚偽の申告を行った場合に科される高額なペナルティ税。

税務署から送付される更正通知書決定通知書で追徴税額を確認し、指定された期限までに納付しましょう。資金繰りの関係で一括納付が困難な場合は、税務署に相談すると分割納付や納税猶予が認められることもあります。

なお、調査結果に納得がいかない場合は、不服申立て(異議申立て)を行うことも可能ですが、税務署と争うには時間とコストがかかるため、税理士と相談の上で判断するのが賢明です。

再発防止策:内部管理体制の見直し

税務調査で指摘された事項は、今後の改善に役立てるべきです。一度調査を受けたからといって安心せず、申告の精度を高めるための仕組みを構築しましょう。

1. 業務フローの改善

調査で発覚したミスの原因を分析し、経理業務の流れを見直します。

  • 売上・仕入の管理を厳格化し、記録漏れを防ぐ
  • 領収書や請求書の管理ルールを策定
  • 会計ソフトを活用し、日々の取引を正確に記帳

2. 内部チェック体制の強化

税務リスクを低減するために、定期的なチェックを行います。

  • 月次決算を導入し、申告内容の精度を高める
  • 経理担当者(または税理士)と連携し、書類の不備を事前に確認
  • 棚卸しを定期的に実施し、在庫の過不足を防ぐ

3. 税務知識の向上

経営者や経理担当者が税務の基礎知識を持つことで、ミスを未然に防ぐことができます。

  • 税務セミナーや勉強会への参加
  • 最新の税制改正情報を定期的に確認
  • 顧問税理士との打ち合わせを定期的に実施

税理士と継続的に連携するメリット

税務調査後も、税理士との連携を継続することで、以下のようなメリットがあります。

  • 定期的な帳簿チェックにより、次回の税務調査でのリスクを軽減
  • 税制改正への対応がスムーズになり、適切な節税対策を実施可能
  • 申告内容の最適化により、適正な納税を行いながら経費計上の精度を向上

また、税理士が関与していると、税務署側も「税務管理が適切に行われている」と判断し、調査の頻度が下がる可能性もあります。長期的な視点で見れば、税理士のサポートを受けながら正確な申告を行うことが、事業の安定につながるでしょう。

税務調査は事業者にとって避けられないリスクですが、適切な対応と事前準備を行えば、過度に恐れる必要はありません。税理士と連携し、コンプライアンスを重視した税務管理を実施することで、安心して本業に専念できる環境を整えましょう。

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